実習生の過酷な労働環境は、国の制度のせい?

技能実習生 外国人技能実習制度

外国人技能実習生は本当に「現代の奴隷制度」なのか⑥

ネット上には外国人技能実習生の過酷な現状を書かれた記事がたくさんあります。
意味不明な給料の天引き、いじめ、超過労働、残業代なし…。
多くの記事は国の政策の甘さを批判していますが、悪いのは本当に国の政策なのでしょうか。

技能実習制度について、また新たな制度が設けらた様です

新しい制度では、熟練技能が必要な職に就く実習生は家族の帯同が認められ、永住出来る可能性もあります。

一方で実習生の難民申請に対して今後さらに厳しくなり、乱用的な難民申請は今後厳しく取り締まられます。
強制送還が決まっても、一部の国が退去に非協力的なせいで収容所に人が溢れかえる現状を打破するため、受け入れ対象国から外すことも検討されています。

止まらない日本の人手不足の解消に向けて、日本の平和と治安を守ることとのバランスを取りながら、日々制度を改めているように思えます。

とある農業の現場で、実習生の成長を見守る社長

茨城県のとある地域に、実習生を派遣している組合の方から聞いたお話です。
常に実習生を3人ほど雇い、過去何人も受け入れ、送り出してきた、家族で経営する小さな養鶏場です。

そこへある日、何本もの電話がかかってきました。
「卵がいつもより小さい」、「色が悪い」、「美味しくない」――。

こんなことは初めてで、おかしいと思った社長は鶏の様子を見に行きます。
そこで見たものは、掃除を怠って不衛生な厩舎と、エサも水も与えられず弱り切った鶏でした。

実習生がさぼって仕事をしていなかったのです。
生き物を扱う仕事なのに、いい加減な掃除をしたり、働いているフリをしながら後輩の実習生1人に世話を押し付けて、たくさんの鶏を死なせてしまいました。

その時の損失、約800万円です。

管理組合と送り出し機関が駆け付けて事情を聴いても
泣いて「ごめんなさい」というばかり。
泣けばいいと思っているようにも見える態度だったそうです。

社長も泣いていました。
お金の問題だけではありません。
何年もかけて最適な餌を研究し、大事に育ててきた沢山の鶏を失ったのです。

送り出し機関側もさすがにこれはクビになっても仕方ない、帰国させようといったのですが、社長は言ったそうです。
「こいつら(実習生)を俺は見捨てない。一人前に成長するよう、育てるのも俺の役目だ」と。

その後も2度ほど、彼の怠慢が原因の損失がありましたが、そのたび社長は涙をこらえて彼を指導し続けました。

それからしばらく時が過ぎ、件の実習生が実習期間を終えるまで1年を切ったころです。
養鶏場を訪れると、彼は古くなって壊れかけた鶏小屋を修理していました。

「私はもうすぐ帰国します。それまでに少しでも社長が困らないようにしておきたい。」

年を取り、後継ぎもいない社長を気遣って、普段の仕事では手が回らない、小屋の修理や側溝の掃除を休憩中にやっているのでした。

「それはとても良いことだけど、休憩時間は休んだほうがいいんじゃない?」

「もうあまり時間が残っていないから、やれるだけやっておきたい。」

彼の人間としての成長を見た気がしました。
たぶん彼は、実習期間が過ぎても、信じて育ててくれた人たちを裏切って逃げたりしないだろうということです。

要は現場の人間の問題

国がどんなに制度を見直しても、抜け道はあるものです。

実習制度を無くせという人もいますが、労働力が不足している日本にとって、もうこの制度に頼らずやっていくのは現実的ではありません。

現場レベルの人間が、実習生を人間と思わずに「安く雇える労働力」として扱っている事を国の制度の在り方の問題とすり替えてはいけません。

「働かせてやっている」という態度の企業、
普段から様子を見に行くこともせず、企業からクレームがあったら話も聞かずに帰国させようとする協同組合、
手数料として大金を払わせ、逃げ場を無くす送り出し機関。

途上国の外国人を見下して、「何をしても良い」と思っている日本人や、日本で働きたいという思いを食い物にするブローカーがいなくならない限り、この問題はなくならないでしょう。

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