外国人技能実習生の逃亡。理由は?

外国人技能実習制度

外国人技能実習生は本当に「現代の奴隷制度」なのか④

前回、日本企業によってひどい扱いを受けていた実習生の事例をお伝えしましたが、 それでも逃げる実習生は後を絶ちません。

何故なのか。そして逃げた実習生はどこへ消えたのでしょうか。

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実習生が逃げる理由

1.話が違う

一部の海外の送り出し機関では実習生募集の際に「月40万稼げます!」などと謳っています。

最近は日本人と同じ賃金を払うことも決まっており、労働環境はだいぶマシになってきたとはいえ、 実際のところは最低賃金での就労がほとんどで、月収は16万前後。 残業しても40万円には遠くおよびません。

日本を知っていれば、月収40万は日本人にも無理そうな数字だとわかりますが、 ジャパンドリームを過大評価した人たちの中には 「こんなはずじゃなかった!」 と思っても不思議はないでしょう。

2.最初から逃げる気で来日した

2015年、ミャンマーから茨城県や千葉県の工場に実習に来ていた69人中58人が1年以内に逃亡しました。

パターンは決まっていて、給料日の2、3日前から準備のためか「お腹が痛い」などと言って仕事を休み、給料日翌日に失踪。 多くの実習生は高速バスで東京に向かったとみられています。

ミャンマーの送り出し機関とも連絡が取れず、企業は渡航費として1人につき7万円払っていますが、このお金は戻ってきません。 中には来日してすぐに渡される「生活費4万円」を受け取った直後に失踪する人間もいたということです。 送り出し機関もグルだった可能性がありそうです。

組織ぐるみでなくても、実習期間の上限の3年が経つ直前に姿を消す人も少なくありません。

3.労働環境や待遇がひどかった

住居の問題

実習生の住居は受け入れ企業が用意します。 家賃は基本実習生の負担で、入国管理局からは「月収の10~15%」が推奨されています。 そうするとだいたい2万円以下なので、2LDKで家賃7万円の部屋に3人住まわせたり、 好意で家賃の一部を負担している企業もあります。

通常、「受け入れ企業」としての審査中に、実習生の住まいとして提供される場所は日本の協同組合が事前に視察します。

が、寮があれば別ですが、審査が通らないうちから賃貸物件を契約して、何か月も空き家のまま放置できないのが実情です。(申請から実際の受け入れまでは半年以上かかります。)

その事情は理解できるので、組合側も強くは言えないようです。

そして組合の目が届いていない中、実習生の受け入れが決まり住まいが用意されます。

実習先が農家などの場合、敷地内に置いたコンテナを宿泊先として提供することがあります。 6畳ほどあるコンテナで、エアコンや冷蔵庫も設置してあり、すぐ横の土間がキッチンスペース。洗面所、洗濯機なども用意してくれる、キチンとした農家もあるので、それ自体は問題ありません。

茨城県のとある農家で、5畳ほどのコンテナを設置してモンゴル人の男性2人を住まわせていました。清潔感はなく、建物の奥にあるため日も全く当たりません。 組合が苦情をいうと、新しい広くて綺麗なコンテナが用意されました。

ですが「ここは新しく来る中国人のために用意したものだから、あの子らはあのままあそこに住んでもらうよ」と言われたそうです。

改善の余地が見られないことから、このモンゴル人男性は組合に別の実習先を用意してもらい、移動が決定しています。

そこから程近い別の農家でも、モンゴル人女性が中国人の男性と同じシャワールームとキッチンを使用させられています。 当然ながら、既定では男女で同じ住居を共用させることは禁止です。

男性たちに汚されたシャワーは、使ったほうが汚れるんじゃないかというほどで、 キッチンは壁はもちろん、どこの引き出しを開けてもアレが出てくる不潔さ…。

話を聞いただけで「逃げてーー!!!」と言いたくなっちゃいます。

しかし実習生に「職場の選択の自由」はありません。

逆らえない実習生に対するいじめ

道路工事関係の仕事に従事している実習生を受け入れている会社から 「実習生が万引きしたんでクビにします」 と連絡を受けて組合が駆け付けました。

この会社では、全社員での泊まり込み研修があり、その翌日の事でした。

研修後の宴会であまった缶ビールを「もってけもってけ!」と言われて部屋に持ち帰り、冷蔵庫に入れて就寝。 翌朝、置いていくのはもったいないからとカバンに詰めているところを 会社の偉い人が見ていて「泥棒!」となったとのこと。

それは泥棒なのでしょうかね…。

誤解だと言っても組合の日本人がフォローしても、その偉い人は「帰れ」の一点張り。 社員の日本人でその人に逆らえる人はいないようです。

こうなったらもうこの職場では働けません。

説得も弁解もあきらめ、結局彼は帰国することに。

組合員が成田に送っている車の中では、仲間たちから「逃げろ!」というメッセージが携帯にじゃんじゃん入ります。

彼は空港に着いてからも「じゃあ僕逃げますんでー!」なんて冗談を言いながらも飛行機に乗って帰っていったそうです。途中で寄ったイオンで買った、家族への大量のお土産と共に。

逃げる前に知ってほしいこと

厳しい環境に置かれている実習生に知ってほしいのは、 優しい農家さんに家族同然に大切に扱われている人もちゃんといるということ。

外国人実習生を守る立場である日本の協同組合や各国の送り出し機関が目を光らせ、 最初は「勘違いした農家や企業」から差別的な扱いを受けていても、改善がみられるところもあります。

組合がキチンをしたところなら、月に一度は様子を見に来てもくれるでしょう。 我慢せず、相談してみると良いかもしれません。 「組合がキチンをしたところなら」相談に乗ってくれるはずです…。

組合に見て見ぬふりをされたら、ほかの組合から来ている別の実習生に。 相談できる人を見つけて欲しいです。

逃げて不法滞在の状態で働く先が、今より良い環境だとは限りません。

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